ソフトバンクグループ株式会社傘下のイギリス企業のARMは新CPU IPとしてARM Cortex-A78およびARM Cortex-X1、GPU IPとしてARM Mali-G78およびARM Mali-G68を発表しました。QualcommやHiSilicon、SamsungはこのIPデザイン(知的所有権のあるデザイン)を利用してSoCを開発します。
ARM Cortex-A78はQualcomm Snapdragon 865 5GやMediaTek Dimensity 1000/1000+、Samsung Exynos 980が搭載しているARM Cortex-A77の後継となります。Cortex-A77は7nm FinFETに最適化していましたが、Cortex-A78は5nm FinFETに最適化されています。Cortex-A78はCortex-A77と比較して20%の性能向上が行われ、更に電力消費が50%も抑えられるようです。そして、4xCortex-A78+4xCortex-A55を組み合わせたDymamIQと4xCortex-A77と4xCortex-A55を比較するとパフォーマンスが20%向上するようです。
更にCPU IPにおいては「Cortex-X Custom(CXC)」プログラムを開始し、その最初の製品としてARM Cortex-X1を発表。Cortex-A78の性能強化モデルと認識でき、Cortex-A78から22%、Cortex-A77から30%の性能向上が図られています。更にこのCortex-X1はDynamIQ技術が利用可能で、1xCortex-X1+3xCortex-A78+4xCortex-A55といった構成を採用することが出来ます。仕組み的にはこの1+3+4はSnapdragon 865 5Gで採用されている構成と同じで、今回のは更に進めたものとなります。過去の製品から考えるとQualcomm Snapdragon、Samsung Exynosがこの構成を採用するのではないかと考えています。
ARM Mali-G78は搭載できるコア数が7-24となっており、従来のMali-G77の搭載数が7-16となっているので更に複数のコア数を採用することが可能になっています。ただ、今の所Mali-G77を採用しているSoCはDimensity 1000/1000+/1000L、Exynos 990がありますが、Exynos 990のMP11(11コア)が最大になっているので、現実的には24コア採用するSoCは表れないと考えています。そして複数のGPUコアを効率よく稼働させる仕組みのAsync技術を採用し、電力効率を向上させることが可能です。Mali-G78はMali-G77からピーク時のパフォーマンスは25%の性能向上が謳われており、電力効率は10%の向上となっています。
更にGPU IPでは1-6コア構成に対応したMali-G68を発表。これは1-6コアを採用しているとMali-G68、7-24コアを採用しているとMali-G78と呼称するものです。
新NPU IPとしてEthos-N78を発表していますが、今回は割愛させていただきます。