Appleが新SoCのA19とA19 Proを発表、第3世代3nmプロセスで製造

Appleが新SoCのA19とA19 Proを発表、第3世代3nmプロセスで製造

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アメリカのAppleは日本時間の2025年9月10日にApple Eventを開催し、新機種としてiPhone 17、iPhone Air、iPhone 17 Pro、iPhone 17 Pro Maxを発表しました。今回は、それらの製品に搭載された新しいSoCの「A19」と「A19 Pro」に焦点を当てます。

 

基本モデルとなるiPhone 17はA19を搭載します。製造プロセスは第3世代の3nmとしており、どの企業で製造したのか明らかにしていません。しかし、Appleは台湾のTSMCとの結び付きが強く、特別な理由がないのに韓国のサムスンファウンドリに委託することは考えられないため、TSMCで製造したと考えています。

 

TSMCの3nmプロセスは第1世代がN3B (旧N3)、第2世代がN3E、第3世代がN3Pなので、A19はN3Pで製造しています。気になる点として、Appleはこのプロセスを「業界で初めて採用した」と発表していないため、どこか他の企業が先に採用した可能性があります。

 

A19にはディスプレイエンジンのProMotionが搭載。これによってリフレッシュレートが60Hz以上に対応し、iPhone 17では基本モデルとして初めて120Hz表示に対応しました。高リフレッシュレートに対応していないという理由でProモデルを選択していた人がいるようですが、このうれしい対応によって基本モデルを選択する人が増えるのではないかと思います。

 

Neural Engineは16基採用。どの程度性能が向上したのか不明ですが、電力効率が良くなった、メモリ帯域幅が広がったと発表しています。

 

CPUはAppleの基本となっている2+6構成を継続して採用。どの程度の向上なのか発表会では明らかにしませんでしたが、公式サイトではiPhone 15が搭載したA16 Bionicと比較して最大40%高速、iPhone 14のA15 Bionicと比較して最大50%高速としています。

 

GPUは次世代になり、5基採用しました。

 

GPUは発表会で性能向上幅を発表しており、iPhone 16が搭載したA18より20%高速、5基GPU版A15 Bionicより90%高速としています。特に目を見張るのは2021年9月に発表されたiPhone 13が搭載している4基GPU版A15 Bionicよりも2倍も高速な点で、実質的に買い替え先として適しているとアピールしています。

 

薄型のiPhone AirとiPhone 17 Pro、17 Pro MaxはA19 Proを搭載しています。実はA19 Proは2種類あり、発表会ではiPhone Air版が先に紹介されたので、ここでもこちらを先に紹介します。

 

A19 ProのCPUはA19と同様に伝統の2+6構成を採用しています。A19 ProはA19とは異なっていくつか進化している点があり、高性能コアはフロントエンド帯域幅の改善、分岐予測の改善が挙げられています。

 

さらに、高性能コアだけでなく効率コアも進化しており、ラストレベルキャッシュ (LLC)が50%も増加としています。Apple製品におけるラストレベルキャッシュはシステムレベルキャッシュ (SLC)を表しており、従来製品のA18 Proが24MBなのでさらに増えることを意味します。注意点としては24MBから50%増ではありません。

 

GPUは5基です。大きな特徴はGPUひとつひとつにNeural Acceleratorsが搭載された点で、A18 Proと比較してピーク時のAI演算性能が3倍になったと明らかにしました。Appleによるとこの性能はどの世代か不明ですがMacBook Proに匹敵するとしています。前述の通りどの世代か不明ですが、比較をしているので2021年10月に発表されたM1世代のSoCを搭載したMacBook Proではないかと考えています。

 

GPUの性能は発表会では触れませんでしたが、公式サイトによるとiPhone 15が搭載したものと比較して最大80%高速に、iPhone 13が搭載したものと比較して最大2.2倍高速になったと記載しています。A19のGPUはiPhone 13が搭載したものから2倍高速でしたので、Proの名の通りA19 ProのGPUはA19よりも性能が高いです。

 

そして、あとに発表されたiPhone 17 Proモデル版のA19 ProはiPhone Air版と異なる点があり、GPUが5基から6基に増えています。しかし「増えている」というのは厳密に言うと誤りで、iPhone Air版A19 Proが「減っている」と考えるのが適切でしょう。

 

つまり、iPhone 17 Proモデル用A19 Proが本来のA19 Pro、iPhone Air版A19 Proがビニングされた・選別されたものです。嫌味な表現をすると規格不適合品となりますが、それを電子ゴミにせず特定のモデルに採用するのは上手な戦略だと思います。

 

GPUはiPhone Air版から1基増えたことにより、ピーク時のAI演算性能がA18 Proと比較して4倍になったとしています。また、持続性能に関しては熱設計も加味して最大40%も向上したと発表しました。

 

こちらでも具体的なGPU性能幅は避けられました。ただ、公式サイトにはしっかりと記載され、iPhone 15 Pro Maxが搭載したA17 Proと比較して最大50%高速、iPhone 13 Pro Maxが搭載したA15 Bionicと比較して最大2.2倍高速になったとしています。

 

A19とA19 Proから話が脱線しますが、Appleはこの発表会で新しいチップも発表しているので紹介します。

 

新機種のiPhone 17とiPhone Air、iPhone 17 Proおよび17 Pro MaxにはApple N1が搭載されており、このN1はWi-Fi 7、Bluetooth 6、Threadをサポートするチップです。Threadに聞き馴染みがなかったので調べてみると、スマートホームデバイス専用の通信規格で、Bluetoothよりも遅延が少ないことから今後の普及が期待されているようです。Appleはそういったデバイスを展開しているのでN1で対応させるのは自社のために必要だったのでしょう。

 

そして、iPhone Airは新しい通信モデムとしてApple C1Xを搭載します。2025年2月に発表されたiPhone 16eが搭載したApple C1の進化版で、下りの通信速度は最大2倍、全体の消費電力が30%も減少し、iPhoneの中で最も電力効率に優れたモデムになったと発表しました。いくつかのiPhoneはQualcomm製のモデムを採用しているため、この新しく発表されたC1XはQualcommのモデムよりも電力効率が優れていることになります。

 

A19を搭載したiPhone 17は9月19日に発売され、価格は129,800円からに設定されています。120Hzのリフレッシュレートに対応した初めての基本iPhoneとなるため、購入する人はかなり増えるのではないかと思います。

 

5基GPU版A19 Proを搭載したiPhone Airは9月19日に発売され、159,800円に設定されています。Plusを終了させた薄型の製品で、自社開発のN1とC1Xを搭載した初めてづくしとなっているため、購入する価値はかなりあるでしょう。

 

6基GPU版A19 Proを搭載したiPhone 17 ProとiPhone 17 Pro Maxは9月19日に発売され、価格はそれぞれ179,800円からと194,800円に設定されています。大幅にデザインを変更したのでさまざまな反応を見ますが、全体としてまとまっているように見えるので過去最高の性能と新しいデザインに惹かれた人におすすめです。

 

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