MediaTekが2018年12月に発表したミドルハイモデル向けプロセッサーのMediaTek Helio P90の初搭載機となるOPPO Reno Zが発表されたことによってベンチマークスコアが公開されました。
やはりどの程度の性能なのかに加えて、競合他社製品であればどの程度の製品なのか気になりますので、ReaMEIZUの私見を加えながら簡単に比較します。
Helio P90はHelio P60、Qualcomm Snapdragon 710、Snapdragon 675、HiSilicon Kirin 710の4製品と比較を行います。Helio P70ではなくHelio P60を利用して比較を行うのは、Helio P70がそれ程主流ではないことを考慮しており、日本市場においてもHelio P60搭載機のほうが多く販売されています。
Helio P90のスペックを見ていくとCPUはSnapdragon 710と同じ構成を採用してクロック数が増加、GPUにはARM MaliではなくImagination Technologies製PowerVRを採用し性能向上を図っています。12nm FinFET製造プロセスを採用していますので、10nm FinFETと比較すると電力消費の面では心配がありますが、昨今はスマートフォンに搭載されているAndroid OS(またはカスタムスキン)によって電力消費が少なくなっていますので、それ程心配はいらないでしょう。
MediaTek Helio P90の総合性能は162,662点でSnapdragon 710やSnapdragon 675を上回ることは出来ませんでした。
細かく性能を見ていくとCPU性能はSnapdraon 675>Helio P90>Snapdragon 710、GPU性能はSnapdragon 710>Helio P90>Snapdragon 675になっていることがわかります。Helio P90はSnapdragon 710とSnapdragon 675のバランスを整えた製品という見方が可能で、なかなかおもしろい性能を持っています。
Helio P60と比較するとCPU性能は16%、GPU性能は18%の性能向上に成功しており、名称から性能の差があると理解できる製品です。全ての性能が向上していますので、Helio P60搭載機のユーザーがHelio P90搭載機へ乗り換える事も自然に行うことが可能です。
CPU性能を計測するのに長けているGeekbenchでの比較です。
シングルコア性能ではSnapdragon 675がCortex-A76の2.0GHzを採用していますので2,000点の大台を超えています。それに続く形でHelio P90が位置していますので、ブラウジングなどでカクツキを覚えたりすることはなく快適な操作が可能です。
マルチコア性能では2xA75(2.2GHz)+6xA55(2.0GHz)のオクタコア構成なので、他のSoCを大きく引き離して7,000点手前までの数値が発揮されています。これはアプリを多数起動していてもカクツキが軽減されるという見方が単純でわかりやすく、Helio P90は他のSoCと比較して多くのアプリを常駐させることが可能です。
カタログスペックを見たときはSnapdragon 710を脅かす製品になるのではないかと考えていましたが、残念ながらその目論見は外れてしまいました。しかし、性能としてはSnapdragon 710とSnapdragon 675のいいとこ取りをしたものなので、SoCの開発で重要な“唯一無二”の性能を持っています。その唯一無二の性能もバランスの取れた製品であることは確かなので、Helio P90が搭載されているからという理由だけで購入を見送るのはもったいなく、「今の自分がどの様な機能や価格を持つスマートフォンが欲しい」のかを見極めることで満足の行く購入が出来ると思います。
ちなみに初搭載機となるOPPO Reno Zは中国市場で6月中に販売されることがわかっています。