台湾のMediaTekは2026年1月15日、中国で新製品発表会を開催し、新製品としてDimensity 8500のほかにDimensity 9500sを発表しました。末尾に「s」が付与されていますが、この名称を採用するのは同社としては初めてだと思います。
このDimensity 9500sは末尾に「s」が付与された結果、Chromeの翻訳機能を使うと「〇〇の」を意味する「s」と勘違いされることがあり、入力ミスと判定されてDimensity 9500と記載されてしまうことがあります。英語圏のメディアを翻訳を使用して見る方は、その部分に注意しましょう。
| 名称 | Dimensity 9500 | Dimensity 9500s | Dimensity 9400 |
| CPU | 1x C1-Ultra
3x C1-Premium 4x C1-Pro (L3 Cache: 16MB) |
1x Cortex-X925
3x Cortex-X4 4x Cortex-A720 (L3 Cache: 12MB) |
1x Cortex-X925
3x Cortex-X4 4x Cortex-A720 (L3 Cache: 12MB) |
| 識別子 | 65_3468
65_3472 65_3467 |
65_3461
65_3458 65_3457 |
65_3461
65_3458 65_3457 |
| リビジョン | r1p0
r1p0 r1p1 |
r0p1
r0p1 r0p1 |
r0p1
r0p1 r0p1 |
| 動作周波数 | 4.21GHz
3.50GHz 2.70GHz |
3.73GHz
3.30GHz 2.40GHz |
3.63GHz
3.30GHz 2.40GHz |
| GPU | Mali G1-Ultra MC12 r0p1 | Immortalis-G925 MC12 / MC11 r0p1 | Immortalis-G925 MC12 r0p1 |
| 動作周波数 | 1716MHz | 1612MHz | 1612MHz |
| NPU/DSP | NPU 990 | NPU | NPU 890 |
| カメラ | Imagiq 1190
3億2000万画素 |
Triple 18-bit Imagiq ISP
3億2000万画素 or 1億800万画素(ZSL) or 3x3600万画素(ZSL) |
Imagiq 1090 HDR-ISP
3億2000万画素 |
| リフレッシュレート | 180Hz (WQHD+) | 180Hz (WQHD+) | 180Hz (WQHD+) |
| エンコード/デコード | Encode: 8K@30fps H.265, H.264
Decode: 8K@60fps H.265, H.264, VP9, AV1 |
Encode: 8K@30fps H.265, H.264
Decode: 8K@60fps H.265, H.264, VP9, AV1 |
Encode: 8K@30fps H.265, H.264
Decode: 8K@60fps H.265, H.264, VP9, AV1 |
| RAM | LPDDR5X (10667Mbps)
(System Level Cache: 10MB) |
LPDDR5X (9600Mbps)
(System Level Cache: 10MB) |
LPDDR5X (10667Mbps)
(System Level Cache: 10MB) |
| ストレージ | UFS 4.1 | UFS 4 + MCQ | UFS 4 + MCQ |
| Wi-Fi | Wi-Fi 7 (11be)
7.3Gbps |
Wi-Fi 7 (11be)
6.5Gbps |
Wi-Fi 7 (11be)
7.3Gbps |
| Bluetooth | Bluetooth 6.0 | Bluetooth 5.4 | Bluetooth 6.0 |
| 位置情報 | GPS, BeiDou, GLONASS, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, BeiDou, GLONASS, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, BeiDou, GLONASS, Galileo, QZSS, NavIC |
| 通信 | 統合: 5G Modem
Sub-6GHz (DL: 7.4Gbps) |
統合: 5G Modem
Sub-6GHz (DL: 7Gbps) |
統合: 5G Modem
Sub-6GHz (DL: 7Gbps) |
| 充電規格 | - | - | - |
| 製造プロセス | TSMC 3nm N3P | TSMC 3nm N3E | TSMC 3nm N3E |
| 型番 | MT6993 | ? | MT6991 |
| 公式サイト | MediaTek | MediaTek | MediaTek |
新たに発表されたDimensity 9500sの主な仕様は、製造プロセスがTSMC 3nm N3E、CPUは最大3.73GHzで動作するCortex-X925と最大3.30GHzで動作するCortex-X4と最大2.40GHzで動作するCortex-A720を1+3+4構成で採用、GPUは最大1612MHzで動作するImmortalis-G925 MC12もしくはMC11、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 4.x、モバイルデータ通信は5Gに対応します。
Dimensity 9500sは3nmプロセスで製造された製品で、トランジスタ数は290億を超えます。最先端の3nmプロセスを採用した準フラッグシップが早速登場することになり、技術革新の異常な速度に驚かされます。
Dimensity 9500sのCPUの総キャッシュ量は29MB (L2 + L3 + SLC)に上り、この数値はQから始まる企業の2025年に発表した準フラッグシップより32%も多いようです。具体的な製品名は伏せられていますが、これはSnapdragon 8 Gen 5を指していると思います。
ちなみに、比較対象のSnapdragon 8 Gen 5のCPUは自社開発をしたOryon CPUを採用しており、このCPUはL3キャッシュを採用しない設計をしているので、L3キャッシュを含めて総量が多いと戦うのは少し違和感があります。
GPUはImmortalis-G925を採用しており、レイトレーシングに対応しています。この発表会で積載数に触れませんでしたが、公式サイトを見るとMC12の場合とMC11の場合があるようです。採用した製品が欲しいと思った場合、性能を気にする方はしっかりと調査しましょう。
現時点では採用した製品が発表されていないのでいろいろと不明ですが、MC12の場合を完全版を意味する「満血版」と表記する可能性があります。このあたりは数ヶ月経てばいろいろと分かるので、MC12の場合とMC11の場合があるということを認識していれば問題ないです。
気になる性能は、おそらくMC12版を使用していると思いますが、Qから始まる企業が2024年に発表したフラッグシップと比較して消費電力が9%も削減されているようです。高い性能をより少ない電力で動かせるのは魅力的です。
この2024年に発表されたものはSnapdragon 8 Eliteを指しているため、Dimensity 9500sは一昨年のフラッグシップよりも効率的なGPUを搭載していることになります。それが準フラッグシップとして発表されるので、MediaTekの強さが際立っています。
この他、Qから始まる企業が2025年に発表した準フラッグシップと比較するとピーク時の性能は24%高いようです。この準フラッグシップは前述した通りSnapdragon 8 Gen 5を表しています。
総括すると、Dimensity 9500sはQから始まる企業の2024年のフラッグシップよりも効率的なGPUを搭載し、2025年の準フラッグシップよりも高い性能を持つGPUを搭載した製品となります。これを最強と言わずして何が最強になるのか、と思うほどの製品です。
この他の部分については、星速引擎と呼ばれる機能を強化したということを発表しました。この星速引擎は国際市場向けには発表しておらず、直訳するとスタースピードエンジン (StarSpeed Engine)となります。
その機能の中のMediaTek Frame Rate Converter (MFRC)がDimensity 9400は2.0、Dimensity 9400+では2.0+ですが、Dimensity 9500sでは3.0になりました。この機能はMediaTekによると、フレームを実質的に倍増する機能のようで、AMDが提供するAFMF (AMD Fluid Motion Frames)のようなものかもしれません。
Dimensity 9500sはvivoやOPPOがフラッグシップ製品に採用しているDimensity 9500の規格不適合品ではなく、Dimensity 9400+および9400のに近い仕様を持っているため、強い製品ではありますが名称に引っ張られるのは注意しましょう。
一部のメディアではDimensity 9400++と表現しているところもありますが、RAMのデータ転送速度は9600Mbpsになっている上、Wi-Fiの速度が遅く、Bluetooth規格の違い、さらにGPUが欠ける可能性があることを考慮すると、その表現は違うのかなと思います。近い表現としてはDimensity 9400±でしょうか。
同発表会ではXiaomiのスマートフォン部門副総裁、李俊 (Li Jun)氏が登壇し、REDMI Turbo 5 Maxが新たに発表されたDimensity 9500sを初採用すると発表しました。同氏によるとこの製品のAnTuTu v11における性能は3,612,095点に上るとしました。
また、同発表会ではvivoの高級副総裁の施玉堅 (Shi Yujian)氏がDimensity 9500sおよび8500の両製品の発表を祝い、OPPOの副総裁の劉波 (Liu Bo)氏もこの発表を祝いました。これから考えられることは、vivoとOPPOも近い将来にDimensity 9500sと8500の両製品もしくは片方を採用する予定であることです。











