サムスン電子がExynos 2600を発表、世界初の2nmプロセスで製造

サムスン電子がExynos 2600を発表、世界初の2nmプロセスで製造

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韓国のサムスン電子は2025年12月19日、世界で初めて2nmプロセスで製造したExynos 2600を発表しました。競合他社の台湾のTSMCは3nmプロセスが最新となっているため、サムスン電子は一歩先を進んだかたちになります。

 

名称 Exynos 2600 Exynos 2500 Exynos 2400
CPU 1x C1-Ultra

3x C1-Pro

6x C1-Pro

1x Cortex-X925

2x Cortex-A725

5x Cortex-A725

2x Cortex-A520

1x Cortex-X4

2x Cortex-A720

3x Cortex-A720

4x Cortex-A520

識別子 65_3468

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リビジョン r1p0

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動作周波数 3.80GHz

3.25GHz

2.75GHz

3.30GHz

2.74GHz

2.36GHz

1.80GHz

3.21GHz

2.90GHz

2.59GHz

1.96GHz

GPU Xclipse 960 8WGP 16CU

(RDNA 4)

Xclipse 950 8WGP 16CU

(RDNA 3)

Xclipse 940 6WGP 12CU

(RDNA 3)

動作周波数 ? 999MHz 1095MHz
NPU/DSP 32K MAC NPU 24K MAC NPU(2-GNPU + 2-SNPU) + DSP 17K MAC NPU(2-GNPU + 2-SNPU) + DSP
カメラ 3億2000万画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3200万画素 3億2000万画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3200万画素 3億2000万画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3200万画素
リフレッシュレート 120Hz (4K / WQUXGA) 120Hz (4K / WQUXGA) 120Hz (4K / WQUXGA)
エンコード/デコード Encode: 8K@30fps H.265, VP9

Decode: 8K@60fps H.265, H.264, VP9, AV1, APV

Encode: 8K@30fps H.265, VP9

Decode: 8K@60fps H.265, VP9, AV1

Encode: 8K@30fps H.265, VP9

Decode: 8K@60fps H.265, VP9, AV1

RAM LPDDR5X (10667Mbps) LPDDR5X (9600Mbps) LPDDR5X (8533Mbps)
ストレージ UFS 4.1 UFS 4.0 UFS 4.0
Wi-Fi - - -
Bluetooth - - -
位置情報 - ? ?
通信 - 統合: 5G Modem

Sub-6GHz

(DL: 9.64Gbps / UL: 2.55Gbps)

mmWave

(DL: 12.1Gbps / UL: 3.67Gbps)

LTE Cat.24/22

(DL: 3Gbps / UL: 422Mbps)

統合: 5G Modem

Sub-6GHz

(DL: 9.64Gbps / UL: 2.55Gbps)

mmWave

(DL: 12.1Gbps / UL: 3.67Gbps)

LTE Cat.24/22

(DL: 3Gbps / UL: 422Mbps)

充電規格 - - -
製造プロセス Samsung 2nm SF2 Samsung 3nm SF3 Samsung 4nm SF4P
型番 S5E9965 S5E9955 S5E9945
公式サイト Samsung Samsung Samsung

新たに発表されたExynos 2600の仕様は、製造プロセスがSamsung 2nm SF2、CPUは最大3.80GHzで動作するC1-Ultraと最大3.25GHzで動作するC1-Proと最大2.75GHzで動作するC1-Proを1+3+6構成で採用、GPUはXclipse 960 8WGP、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 4.1、モバイルデータ通信はモデムを統合していないため単体では利用できません。

 

Exynos 2600の最大の特徴は2nmプロセスで製造された最初の商用製品で、この発表により業界の一歩先を進んでいることが名実ともに明らかになりました。このExynos 2600はたびたび開発中止・量産中止が伝えられ、数多くの苦難が合ったと予想しますが世に出すことに成功しました。

 

CPUはMediaTekのDimensity 9500と同じく最新のArm Lumex CSSを採用し、C1-UltraとProを1+9(3+6)構成を採用しました。この構成によって高い効率を発揮するリトルコアがなくなり、ビッグコアとミドルコア構成となりました。サムスン電子によるとこの採用・構成によって性能が39%向上し、具体的な数値は発表していないものの電力効率も向上するとしています。

 

実はArm Lumex CSSにはUltraとProの間に位置するPremiumがあり、Dimensity 9500はこちらを採用していますが、Exynos 2600は採用を見送っています。両SoCは近い構成ではありますが、同じではないことに注意してください。

 

GPUはAMDのRDNA 4ベースのXclipse 960で8WGP 16CUとなっています。8WGP 16CUはExynos 2500のGPUと同じですが、アーキテクチャの進化が関係しているのか性能が2倍になり、レイトレーシング性能は50%向上しました。そして、このGPUにはENSS (Exynos Neural Super Sampling)と呼称するAIを利用したアップスケーリングとフレーム生成を可能にし、最大3倍スムーズになるとしています。

 

Exynos 2600はモバイルSoC業界で初めてHPB (Heat Path Block)を採用し、これにより熱を効率的に分散させることができるとしています。Exynosの最大の欠点として挙げられているのは過度な発熱で、これによって性能が大幅に下がるといったことが不評の理由でした。サムスン電子は、このHPBの採用によって高負荷時でもSoCの内部温度が安定するとしており、Exynos 2600の全体的な性能が向上するとしています。

 

注意点としてこのExynos 2600はモデムが統合されていません。現在においてモデムを統合しないモバイルデバイス向けSoCは非常に少ないので、Exynos 2600はその極めて珍しい例に含まれます。過去の例からモデムを統合しない欠点として消費電力の増加が挙げられ、サムスン電子は過去にモデムを統合する利点として「消費電力を削減できる」と発表しています。統合しないことはそれの逆が起こるため、大きな差ではないと思いますが消費電力が増加する可能性があります。

 

Exynos 2600を初めて搭載する製品に関しては言及されていませんが、来年2026年に発表される予定のGalaxy S26とS26+が有力です。最新の技術が詰まりに詰まったExynos 2600には大きな期待がかかります。

 

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