Kirin 9030 / 9030 Proが登場、歩みを止めず進化を続ける

Kirin 9030 / 9030 Proが登場、歩みを止めず進化を続ける

2025年11月29日
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中国のHuaweiは2025年11月25日に新製品発表会を開催し、HUAWEI Mate 80シリーズとMate X7を発表しました。今回、これらの製品に新SoCのKirin 9030とKirin 9030 Proが採用されていることが判明したため、判明している情報をもとに簡単にまとめます。

 

名称 Kirin 9030 Pro Kirin 9030 Kirin 9020
CPU 1x TaiShan-Big

4x TaiShan-Middle

4x TaiShan-Little

(9 Cores / 14 Threads)

1x TaiShan-Big

3x TaiShan-Middle

4x TaiShan-Little

(8 Cores / 12 Threads)

1x TaiShan-Big

3x TaiShan-Middle

4x TaiShan-Little

(8 Cores / 12 Threads)

識別子 72_3334

72_3399

72_3364

72_3334

72_3399

72_3364

72_3333

72_3398

72_3363

リビジョン r2p0

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r2p1

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動作周波数 2.75GHz

2.27GHz

1.72GHz

2.69GHz

2.27GHz

1.72GHz

2.50GHz

2.15GHz

1.60GHz

GPU Maleoon 935 6CU Maleoon 935A 5CU Maleoon 920 4CU
動作周波数 933MHz 933MHz 840MHz
NPU/DSP ? ? Da Vinci NPU

1x Ascend Lite

1x Ascend Tiny

カメラ Kirin ISP 9.0 Kirin ISP 9.0 Kirin ISP 8.0
リフレッシュレート ? ? ?
エンコード/デコード ? ? ?
RAM ? ? LPDDR5X (4266MHz)

(System Level Cache: 8MB)

ストレージ ? ? UFS 4.0
Wi-Fi Wi-Fi 7 (11be) Wi-Fi 7 (11be) Wi-Fi 7 (11be)
Bluetooth Bluetooth 6.0 Bluetooth 6.0 Bluetooth 5.2
位置情報 GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC
通信 統合: Balong Modem 統合: Balong Modem 統合: Balong Modem
充電規格 HUAWEI SuperCharge (100W) HUAWEI SuperCharge (100W) HUAWEI SuperCharge (100W)
製造プロセス ? ? SMIC 7nm N+2
型番 ? ? Hi36C0-V110
公式サイト - - -

Kirin 9030 Proの主な仕様は、製造プロセスが不明、CPUは最大2.75GHzで動作するTaiShan-Bigと最大2.27GHzで動作するTaiShan-Middleと最大1.72GHzで動作するTaiShan-Littleを1+4+4構成で採用、GPUは最大933MHzで動作するMaleoon 935 6CU、RAM規格と内蔵ストレージ規格は不明、モバイルデータ通信に対応します。

 

Kirin 9030の仕様は少し異なって、CPUについてはTaiShan-Bigが最大2.69GHzで動作し、TaiShan-Middleが1基減って1+3+4構成に、GPUはMaleoon 935Aに変更され、数も6CUから5CUに減っています。

 

CPUは識別子を見るとわかるとおり、すべて新しいものになっています。これはHuaweiがさらに新しいCPUを開発したことを意味しており、ありとあらゆる設備を利用できる状態ではありませんが、諦めることなく前を見て進化を続けていることがわかります。

 

CPUについて詳しく見ると、極めてめずらしい1+4+4構成を採用していますが、さまざまなデータを見ると実際には1+(2+2)+4で動作しているように見受けられます。もちろんこの状態でもめずらしいですが、より確かな情報を届けたい身としては看過できませんでした。ちなみに、Middleが減っているKirin 9030は1+(1+2)+4で動作しています。

 

そして、Huaweiが自社開発したTaiShan CPUは業界に先駆けて同時マルチスレッディング (SMT)に対応していることがわかっており、これを踏まえると実際の構成はKirin 9030 Proの場合は2+(4+4)+4の計14スレッドに、Kirin 9030は2+(2+4)+4の計12スレッドとなります。コア数とスレッド数を正しく理解するには、先程の1+(2+2)+4構成がここで必要になります。

 

GPUはCPUと同様に進化し、Maleoon 935を採用しています。これまでMaleoon GPUは4CUが最大でしたが、今回は50%増の6CUになりました。数を増やすことは性能向上においてとても大事で、長らく4CUを搭載してきましたがKirin 9030 Proでは壁を壊すことに成功しました。

 

実はKirin 9030 Proと9030のGPUは同じではなく、名称がMaleoon 935Aに変更され、数も6CUから5CUに削減されています。過去の例から「A」は劣っていることを意味しているので、Maleoon 935Aは1CUあたりの性能も低く、また、5CUに削減しているのでGPUの性能には差があります。

 

製造プロセスは不明です。事前情報では7nmプロセスのN+2ではなく、TSMCの6nmから5nmプロセス相当のN+3だとされていますが、これについてはTechInsightやKurnal氏の情報を待つしかありません。もしN+3で製造していた場合、間違いなく革命が起きていることになり、Huaweiの脅威は増すことになるでしょう。

 

Huaweiは、Kirin 9030 Proを搭載した製品はKirin 9020を搭載した製品と比較して総合的な性能が42%向上したと発表しました。しかし、この比較は搭載しているHarmonyOSが同一のものではないため、SoCそのものが42%も向上したと解釈しないように気をつけてください。

 

Kirin 9030でも同様にHarmonyOSが異なりますが、Kirin 9020を搭載したものと比較して35%の性能向上したと発表されています。しかし、前述の通りCPUとGPUが間違いなく進化しているので、どの程度が不明なものの性能向上しているのは確実です。

 

Kirin ISPはHuaweiの競合他社に負けない優位点で、Kirin 9030シリーズは1世代進みKirin ISP 9.0を採用しています。発表会では、リアルタイムデータ処理速度が100%向上し、ビデオ撮影関連のAI性能が向上していると発表されました。

 

HUAWEI Mate 80シリーズの中でKirin 9030を搭載しているのはRAM 12GB版のMate 80 Proのみで、価格は5999元 (約132,500円)からに設定されています。11月28日より中国で販売を開始します。

 

Kirin 9030 Proを搭載するのはRAM 16GB版のMate 80 Proと、その上位版のMate 80 Pro Max、よりデザインに力を入れているMate 80 RS、フォルダブルのMate X7とRAM 16GBのMate X7 典蔵版です。

 

「Kirin 9030 Proを入手したい」場合はRAM 16GB版のMate 80 Proがおすすめで、価格は6999元 (約15,4500円)からとなっています。高いと感じる人が多いと思いますが、比較対象として中国ではiPhone 17 Proが8999元 (約199,000円)からに設定されていることを考えると、それほど極端なものではないことは理解できると思います。

 

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