HuaweiがKirin 9010の製品化に成功、SMICの力を借り飛躍続ける

HuaweiがKirin 9010の製品化に成功、SMICの力を借り飛躍続ける

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中国のHuaweiは2024年4月18日、なんの予告も行わなずHUAWEI Pura 70シリーズを発表し、それと同時に新製品となるKirin 9010の存在が明らかになりました。今回、同じように唐突に存在が明らかになったKirin 9000Sとわかる範囲で比較します。

 

名称 Kirin 9010 Kirin 9000S
CPU 1x TaiShan-Big

3x Taishan-Mid

4x Cortex-A510 r1

(8MB L3 Cache)

1x TaiShan-Big

3x TaiShan-Mid

4x Cortex-A510 r1

(4MB L3 Cache)

動作周波数 2.30GHz

2.18GHz

1.55GHz

2.62GHz

2.15GHz

1.53GHz

GPU Maleoon 910 4CU Maleoon 910 4CU
動作周波数 750MHz 750MHz
NPU/DSP Da Vinci Architecture 3.0 (?)

1x Ascend Lite

1x Ascend Tiny

Da Vinci Architecture 3.0 (?)

1x Ascend Lite

1x Ascend Tiny

カメラ Kirin ISP 7.0 (?) Kirin ISP 7.0 (?)
リフレッシュレート ? ?
エンコード/デコード ? ?
RAM LPDDR5 (3200MHz)

(4MB System Level Cache)

LPDDR5 (3200MHz)

(4MB System Level Cache)

ストレージ UFS 3.1 UFS 3.1
Wi-Fi Wi-Fi 6 (11ax) Wi-Fi 6 (11ax)
Bluetooth Bluetooth 5.2 Bluetooth 5.2
位置情報 GPS, A-GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC GPS, A-GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC
通信 統合: Balong 5G Modem 統合: Balong 5G Modem
充電規格 ? ?
製造プロセス SMIC 7nm N+2 SMIC 7nm N+2
型番 Hi36A0-GFCV121-CN Hi36A0-GFCV120-CN

いきなり登場したKirin 9010の主な仕様は、製造プロセスがSMIC 7nm N+2、CPUは最大2.30GHzで動作するTaiShan-Bigと最大2.18GHzで動作するTaiShan-Midと最大1.55GHzで動作するCortex-A510 Refreshedを1+3+4構成で採用、GPUは最大750MHzで動作するMaleoon 910 4CU、RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、モバイルデータ通信は少なくとも4G LTEに対応しています。

 

この表を見るとKirin 9010はHUAWEI Mate 60シリーズが初搭載したKirin 9000Sから変更点がほぼないように見受けられ、いくつかのメディアで「ほとんど変化がない」と記載されていますが実は大きな飛躍を遂げています。

 

まずCPUに注目すると、超高性能なTaiShan-Bigが最大2.62GHzから最大2.30GHzに下がっていますが、これは「進化」にともなった結果で残念ながら「退化」したわけではありません。それぞれのCPU IPが持つ識別子に注目すると、Kirin 9000Sは72_3330となっていますが、Kirin 9010は72_3331が付与されています。たった「1」の違いですが、これは別物であることを意味しています。

 

そのため、Kirin 9000SとKirin 9010が採用したTaiShan-Bigは同じように見えてしまったかもしれませんが別のもので、完全子会社のHiSiliconが確かな研究・開発を行ったことがわかります。アメリカの経済制裁を受けながら開発を続け、進み続ける根性はさすがとしか言えません。

 

また、実はTaiShan-Midにも違いがあり、こちらはRevisionがr2p2からr2p4に変化しています。これはTaiShan-Bigと異なって識別子は同じですが、この変更によっていくつかの調整が行われていることを意味しており、Kirin 9000Sとまったく同じではないことがわかったと思います。

 

みなさんもご存知かもしれませんが、Kirin 9000S以降の自社開発されたTaiShan CPUはスマートフォン業界ではたいへんめずらしいSMT (同時マルチスレッディング)に対応しています。そのため、TaiShan-BigおよびTaiShan-Midは1コア・2スレッドとなり、Kirin 9000SとKirin 9010は8コア・12スレッドの製品となります。

 

GPUは最大750MHzで動作するMaleoon 910 4CUを継続して採用しています。この部分に関してはKirin 9000Sと違いはないのではないかと考えられています。

 

HuaweiはCPUとGPUの自社開発に成功しており、現状ではCPUはまだArmが開発したものを採用していますが、最終的にはすべて自社開発したものになると予想されています。

 

Kirin 9010はHUAWEI Pura 70シリーズの登場によって存在が明るみに出ましたが、搭載しているのはPura 70 Pro以上の製品です。標準版のPura 70はKirin 9000S1を搭載していることが確認できていますので、今後そちらに関しても別記事で解説する予定です。

 

価格はPura 70が5499元 (約113,500円)からに設定されていますが、Kirin 9010を体験したい場合は6499元 (約134,000円)からに設定されているPura 70 Pro、もしくはその上位のPura 70 Pro+とPura 70 Ultraを購入する必要があります。

 

参考(1) | (2) | (3) | (4)