アメリカのQualcommは2024年8月21日、新製品としてSnapdragon 6s 4G Gen 1を発表しました。名称は「Gen 1 4G」ではなく「4G Gen 1」が正しいようです。
名称 | Snapdragon 6s 4G Gen 1 | Snapdragon 685 4G | Snapdragon 662 |
CPU | Kryo
4x Cortex-A73 4x Cortex-A53 |
Kryo 265
4x Cortex-A73 4x Cortex-A53 |
Kryo 260
4x Cortex-A73 4x Cortex-A53 |
動作周波数 | 2.11GHz
2.02GHz |
2.80GHz
1.90GHz |
2.02GHz
1.80GHz |
GPU | Adreno 610 | Adreno 610 | Adreno 610 |
動作周波数 | 1050MHz | 1260MHz | 950MHz |
NPU/DSP | Hexagon | Hexagon 686 | Hexagon 683 |
カメラ | Dual 12-bit Spectra ISP
4800万画素 or 2500万画素(ZSL) or 2x1300万画素(ZSL) |
Triple 12-bit Spectra 346 ISP
1億800万画素 or 3200万画素(ZSL) or 2x1600万画素(ZSL) or 1300万画素+1300万画素+500万画素(ZSL) |
Spectra 340T ISP
4800万画素 or 2500万画素(ZSL) or 2x1300万画素(ZSL) |
リフレッシュレート | 60Hz (FHD+)
90Hz (HD+) |
120Hz (FHD+)
120Hz (HD+) |
60Hz (FHD+)
90Hz (HD+) |
エンコード/デコード | Encode: 1080p@60fps H.265
Decode: 1080p@60fps H.265, H.264, VP9, VP8 |
Encode: 1080p@60fps H.265
Decode: 1080p@60fps H.265, H.264, VP9, VP8 |
Encode: 1080p@60fps H.265
Encode: 1080p@60fps H.265, H.264, VP9, VP8 |
RAM | LPDDR4X (2133MHz)
LPDDR3 (933MHz) |
LPDDR4X (2133MHz) | LPDDR4X (1866MHz)
LPDDR3 (933MHz) |
ストレージ | UFS 2.1 | ? | UFS 2.1 |
Wi-Fi | Wi-Fi 6 ready (11ax) | Wi-Fi 5 (11ax) | Wi-Fi 6 ready (11ax) |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 | Bluetooth 5.2 | Bluetooth 5.1 |
位置情報 | GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, SBAS, NavIC |
通信 | 統合: LTE Modem
LTE Cat.13/13 (DL: 390Mnps / UL: 150Mbps) |
統合: X11 LTE Modem
LTE Cat.13/13 (DL: 390Mbps / UL: 150Mbps) |
統合: X11 LTE Modem
LTE Cat.13/13 (DL: 390Mbps / 150Mbps) |
充電規格 | Quick Charge 3.0 | Quick Charge 3.0 | Quick Charge 3.0 |
製造プロセス | Samsung 11nm 11LPP | TSMC 6nm N6 | Samsung 11nm 11LPP |
型番 | SM6115-AC | SM6225-AD | SM6115 |
新たに発表されたSnapdragon 6s 4G Gen 1の主な仕様は、製造プロセスがSamsung 11nm 11LPP、CPUはKryoで最大2.11GHzで動作するCortex-A73を4基と最大2.02GHzで動作するCortex-A53を4基の4+4構成、GPUは最大1050MHzで動作するAdreno 610、RAM規格はLPDDR4X、内蔵ストレージ規格はUFS 2.1、モバイルデータ通信は4G LTEに対応します。
Qualcommは、Snapdragon 6s 4G Gen 1について「Snapdragon 662からKryo CPUとAdreno GPUの性能が向上しています」としているため、この新製品はSnapdragon 662のリブランド品と見ていいでしょう。
まず名称に注目すると、シリーズ名と世代の間に「4G」が入っています。中国のHuaweiはトランプ政権時のアメリカから現在まで経済制裁を受けており、HUAWEI Mate 50シリーズに5G NR通信が無効化されたSnapdragon 8+ Gen 1 4Gを採用し、こちらは末尾に「4G」が付与されています。そういった状況を踏まえると、最初から5G NRに非対応である場合はシリーズ名と世代の間に「4G」を、無効化した場合は最後に「4G」をつける命名規則なのかもしれません。
CPUはCortex-A73とCortex-A53を採用し、高性能側のCortex-A73は2016年5月に発表されたかなり古いCPU IPです。それを現代でも活用しようとしているのですから驚きを隠せません。進化元となっているSnapdragon 662と比較すると、高性能側は0.09GHzで、高効率側は0.22GHzも上昇しています。これによって性能が向上するのは間違いないことがわかります。
GPUは最大1050MHzで動作するAdreno 610を採用しています。Snapdragon 662が最大950MHzで動作しますので約11%も上昇しており、性能も同じく10%ほど上昇すると考えています。
RAM規格に関しては少し変化があり、規格そのものはLPDDR4Xで共通ですが速度が1866MHzから2133MHzに高速化しています。これによる利点は細かく書くとたくさんあるようですが、簡単に表現するといくつかの動作が少しスムーズになるようです。
Snapdragon 6s 4G Gen 1はOPPO A3x (CPH2641)が初搭載しており、少なくとも8月11日には発表されています。
容量は4GB+64GB、4GB+128GB、6GB+128GB、6GB+256GB、8GB+128GB、8GB+256GBの複数のモデルを用意しています。価格は不明ですが、主に新興国で販売されると思うのでそれほど高い価格にはならないのではないかと考えています。