サムスン電子、3nm GAAプロセス採用のウェアラブル向け新製品「Exynos W1000」を発表

サムスン電子、3nm GAAプロセス採用のウェアラブル向け新製品「Exynos W1000」を発表

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韓国のサムスン電子は2024年7月3日、ウェアラブル向けの新SoCとしてExynos W1000を発表しました。同社は7月10日に新製品発表会「Galaxy Unpacked 2024」の開催を明らかにしており、今製品はその日に発表すると見られていましたが実際にはかなり前倒して発表されることになりました。

 

名称 Exynos W1000 Exynos W930 Exynos W920
CPU 1x Cortex-A78

4x Cortex-A55

2x Cortex-A55 2x Cortex-A55
動作周波数 (Official: 1.6GHz + 1.5GHz) 1.40GHz

(Official: 1.4GHz)

1.20GHz

(Official: 1.18GHz)

GPU Mali-G68 MP2 Mali-G68 MP2 Mali-G68 MP2
動作周波数 ? 667MHz 667MHz
ディスプレイ qHD (960x540) qHD (960x540) qHD (960x540)
RAM LPDDR5 LPDDR4 LPDDR4
ストレージ eMMC 5.1 eMMC 5.1 eMMC 5.1
Wi-Fi ? Wi-Fi 4 (11n) Wi-Fi 4 (11n)
Bluetooth ? Bluetooth 5.3 Bluetooth 5.0
位置情報 GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo
通信 統合: 4G Modem

LTE Cat.4/5

(DL: 150Mbps/UL: 75Mbps)

統合: 4G Modem

LTE Cat.4/5

(DL: 150Mbps/UL: 75Mbps)

統合: 4G Modem

LTE Cat.4/5

(DL: 150Mbps/UL: 75Mbps)

製造プロセス Samsung 3nm SF3 Samsung 5nm SF5E Samsung 5nm SF5E
型番 SC55535AHA

(S5E5535)

SC55515XBE

(S5E5515)

SC55515XBD

(S5E5515)

Exynos W1000の主な仕様は、製造プロセスがSamsungの3nmプロセスに基づくSF3、CPUは最大1.6GHzで動作するCortex-A78を1基と最大1.5GHzで動作するCortex-A55を4基の1+4構成、GPUはMali-G68 MP2、RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格はeMMC 5.1、モバイルデータ通信は4G LTEに対応し、この他の通信としてWi-FiやBluetoothに対応します。

 

今回の発表に合わせて公開された仕様によると、Exynos W1000は昨年の2023年8月に発表されたExynos W930と比較して製造プロセスとCPU、RAM規格が進化しています。Exynos W930は1世代前の製品の2021年8月に発表されたExynos W920のマイナーチェンジ版でしたが、Exynos W1000はまったくの別物となっています。

 

製造プロセスに関しては5nmプロセスから4nmプロセスを飛ばして3nmプロセスを採用しています。このExynos W1000の製造を行ったサムスンファウンドリは3nmプロセスで台湾のTSMCに先んじてGAA (Gate-All-Around)構造を採用しており、基本的には従来のFinFET構造よりもGAA構造のほうが性能と消費電力の面で優位に立つとされています。

 

CPUも大きく進化しており、コア構成がExynos W930では2基でしたが、Exynos W1000では高性能なコアを1基と効率的なコアを4基になり、デュアルコア構成からペンタコア構成になりました。特に高性能なCortex-A78をウェアラブル向けの製品ながら採用し、効率的なCortex-A55を倍に増やすといった努力によって、Exynos W930と比較してシングルコア性能は3.4倍、マルチコア性能は3.7倍になりました。よりすごく表現すると前者の性能は340%、後者の性能は370%も高くなっています。

 

RAM規格はLPDDR5に対応します。現時点でLPDDR5規格はデータレートが6400Mbps版と5500Mbps版があるためどちらなのか特定することはできかねますが、そもそもLPDDR5規格を採用している時点で最強クラスと表現できます。

 

この他、細かい点としてAOD (Always on Display)はエンジンによって対応しています。Exynos W930とW920はコプロセッサーとしてCortex-M55を2基採用していたため、エンジンによって対応することで消費電力の削減が期待できます。

 

今回発表されたExynos W1000を初搭載した製品は7月10日の新製品発表会で発表される見込みで、現時点でのリーク情報によるとGalaxy Watch7とGalaxy Watch Ultraの2製品が搭載するとされています。これらの製品の日本市場への投入は不明ですが、過去の例を鑑みるとこういったウェアラブル製品は投入されるため、首を長くして待ちましょう。

 

 

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