OPPO、自社開発チップ事業のZEKUを終了

OPPO、自社開発チップ事業のZEKUを終了

2023年6月1日
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OPPO Find X6 ProやOPPO Reno10 Pro+を開発したOPPOは現地時間の2023年5月12日に、商業上の理由により同社のチップ製造を行う子会社のZEKU(哲庫)事業を終了すると明らかにしました。

 

OPPOは、世界経済と携帯電話市場の不確実性を踏まえ、慎重に検討を重ねた結果、ZEKU事業の終了を決定したと述べました。一部の情報としてアメリカ合衆国における影響だと語るメディアや人物がありますが、OPPOは「世界経済と携帯電話市場の不確実性」が原因だとしています。

 

今年のはじめ、ZEKUはTSMCの4nmプロセスに基づくN4と、MediaTek製の5Gベースバンドを使用したOPPOの自社開発モバイル向けSoCが2023年Q3(7月-9月)にテープアウト(試作)を行うといった噂が流れましたが、今回の発表によってそれが実現することはなくなりました。このSoCを搭載した製品は2024年に発表・発売される予定でした。

 

TSMCの4nmプロセスは先進的な技術を採用したプロセスで、OPPO初の自社開発SoCも4nmプロセスを採用するとされていたため、多くの人々から注目を浴びていました。噂レベルではありますが、この自社開発SoCはQualcommのSnapdragon 8+ Gen 1程度の高性能なものになるとされていました。

 

OPPOが自社開発チップの開発を断念し、チームメンバー全員の解散を発表したことで業界も懸念していますが、OPPOが以前に発表したふたつの自社開発チップはいずれも先端プロセスを採用しており、MariSilicon Xは6nmプロセスのN6、MariSilicon Yは6nmプロセスのN6RFプロセスを採用しており、これらのチップはすべてTSMCで製造されていたため、いくつかの企業に影響を及ぼす可能性があるとされています。

 

ZEKUはかつて、QualcommやUNISOC、MediaTekなどの企業からチップ設計リーダーなどの上級人材を引き抜き、強気の姿勢でチップ開発を進めていました。その後、OPPOは自社開発チップとしてMariSilicon XとMariSilicon Yを発表し、確かな技術力を世界にアピールし、前者のチップは同社のフラグシップ製品のOPPO Find X5 Pro、OPPO Find X6 Proなどに搭載して販売を行っています。一方でBluetoothチップのMariSilicon Yは発表はしたものの、搭載した製品は存在していません。

 

サプライチェーンからの情報によると、OPPO製チップの1回のテープアウトテストにかかる費用は1億元(約19億6500万円)とされており、今後も高度な製造プロセスへの進出を進めば、その投資額はこの基準をはるかに超え、OPPO本体の事業に悪影響を及ぼすことは確実です。

 

現在、携帯電話業界は継続的な経済の不確実性による開発困難な状況が続いており、中国市場における携帯電話の年間販売台数は2022年には3億台を下回ると予想されています。以前の水準に回復するには少なくとも2年もかかるとされています。

 

ZEKU(哲庫)は2019年に設立された企業で、2020年7月に守朴科技(上海)有限公司から哲庫科技(上海)有限公司に改名されました。

 

 

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