Qualcommは日本時間の2022年11月23日、新製品としてSnapdragon 782Gを静かに発表しました。現在の主流の製品は「Gen」を名称に含んでいますが、今回発表した製品は以前の命名規則の「3桁名称」を採用しています。
名称 | Snapdragon 782G | Snapdragon 778G+ 5G | Snapdragon 778G 5G |
CPU | Kryo
1x Cortex-A78 3x Cortex-A78 4x Cortex-A55 |
Kryo 670
1x Cortex-A78 3x Cortex-A78 4x Cortex-A55 |
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動作周波数 | 2.71GHz+2.40GHz+1.80GHz | 2.52GHz+2.40GHz+1.80GHz | 2.40GHz+2.40GHz+1.80GHz |
GPU | Adreno 642L | Adreno 642L | |
動作周波数 | 608MHz | 550MHz | |
NPU/DSP | Hexagon | Hexagon 770 | |
カメラ | Triple 14-bit Spectra ISP
2億画素 or 6400万画素(ZSL) or 3600万画素+2200万画素(ZSL) or 2x2200万画素(ZSL) 2 Gigapixels per Second |
Triple 14-bit Spectra 570L ISP
2億画素 or 6400万画素(ZSL) or 3600万画素+2200万画素(ZSL) or 2x2200万画素(ZSL) 2 Gigapixels per Second |
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リフレッシュレート | 144Hz(FHD+) | 144Hz(FHD+) | |
エンコード/デコード | Encode: 4K@30FPS 10-bit H.265
Decode: 4K@30FPS 10-bit H.264, H.265, VP8, VP9 HDR10+, HDR10, HLG Slow-mo: 720p@240FPS |
Encode: 4K@30FPS 10-bit H.265
Decode: 4K@30FPS 10-bit H.264, H.265, VP8, VP9 HDR10+, HDR10, HLG Slow-mo: 720p@240FPS |
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RAM | LPDDR5(3200MHz) | LPDDR5(3200MHz) | |
ストレージ | UFS 3.1
UFS 2.2 |
UFS 3.1
UFS 2.2 |
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Wi-Fi | FastConnect 6700
Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E (2.9Gbps) |
FastConnect 6700
Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E (2.9Gbps) |
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Bluetooth | FastConnect 6700
Bluetooth 5.2 |
FastConnect 6700
Bluetooth 5.2 |
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位置情報 | GPS, Glonass, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, Glonass, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC | |
通信 | 統合: X53 5G Modem
Sub-6GHz/mmWave (3.7Gbps/1.6Gbps) |
統合: X53 5G Modem
Sub-6GHz/mmWave (3.7Gbps/1.6Gbps) |
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充電規格 | Quick Charge 4+ | Quick Charge 4+ | |
製造プロセス | TSMC 6nm N6 | TSMC 6nm N6 | TSMC 6nm N6 |
型番 | SM7325-AF | SM7325-AE | SM7325 |
Snapdragon 782Gは以前の命名規則を採用していますが、モバイル通信方式の世代を表す4Gや5Gは含まれず、「Gen」で採用した命名規則に倣った部分があります。この他、CPU、GPU、ISPなどの型番も以前の命名規則では詳しく記載していましたが、簡略化した表記になっており、名称は以前の命名規則ですが、仕様は新しい命名規則での表記方法を採用しており、ややちぐはぐな印象を受けます。
そして、Snapdragon 778G 5GとSnapdragon 782Gの間にSnapdragon 780G 5Gがあるのでややこしく感じるかもしれませんが、今回の製品の位置づけはSnapdragon 778G 5Gの高クロック版のSnapdragon 778G+ 5Gの高クロック版で、決してSnapdragon 780G 5Gの後継製品ではないことは理解していてほしいと思います。
Snapdragon 782Gの主なスペックは、製造プロセスがTSMC 6nm N6、CPUがKryoで2.71GHzで動作するCortex-A78を1基、2.40GHzで動作するCortex-A78を3基、1.80GHzで動作するCortex-A55を4基の1+3+4構成、GPUはAdreno表記ですが詳細に記すとAdreno 642L、RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、5G通信はSub-6GHz帯とmmWave対応、Wi-Fi規格はWi-Fi 6/Wi-Fi 6E対応、Bluetooth規格はBluetooth 5.2対応、急速充電はQuick Charge 4+に対応しています。
CPUはKryo 670を採用していると思われますが、公式はKryoのみの表記を採用しています。Qualcommによると、Snapdragon 778G+ 5Gと比較して5%の性能向上に成功したようです。1基のCortex-A78が2.52GHzから2.71GHzに上昇したため、Geekbenchでのシングルコア性能に大きな影響があるでしょう。
GPUはAdreno表記ですが、実際にはAdreno 642Lを継続して採用しています。性能向上幅は10%と発表されているので608MHzよりも高いクロック周波数になり、単純に計算すると668MHz程度となります。
ISPはSpectra表記ですが、Spectra 570Lを採用していると考えています。SoCに興味のないメディアでは2億画素に対応したとアピールしていますが、Snapdragon 778G 5G時点で対応しているため、この部分は残念ながら特に変更点はありません。
その他の部分も変更点はなく、Snapdragon 782Gは実質的にSnapdragon 778G++ 5Gと表現できます。「+」が連なるのは不格好ですし、検索最大手のGoogle検索に則した名称とは思えないので新たな製品として発表するしかなかったと考えています。そうした結果、ややこしさを生んでしまったので、何か勘違いしている人がいたらこの記事を薦めてほしいと思います。
Snapdragon 782GはHONOR 80が搭載表明をしており、発表会は奇しくもSnapdragon 782Gの発表が行われた11月23日に行われます。販売に関しては発表会から数日空くと思うので、具体的な性能が判明するのはもう少しかかるでしょう。
搭載した製品によって性能が判明した際はAnTuTu BenchmarkとGeekbenchを利用して比較を行う予定ですので、本サイトの新着記事を待っていてください。