Armが新CPU IPとGPU IPを発表、命名方式が大きく変更

Armが新CPU IPとGPU IPを発表、命名方式が大きく変更

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イギリス企業のArmは2021年5月25日、新CPU IPとしてCortex-X2とCortex-A710、Cortex-A510を、新GPU IPとしてMali-G710とMali-G610、Mali-G510、Mali-G310を発表しました。

 

以前までCortex-A78やCortex-A73、Cortex-A53などのA+2桁の名称でしたが、新しい世代ではA+3桁の名称に変更され、また、先日発表されたばかりの新アーキテクチャーArmv9に対応しています。GPU IPも同様に従来はMali-G78やMali-G57などのG+2桁でしたが、G+3桁の名称に変更されています。

 

新たに発表されたCortex-X2は昨年発表したCortex-X1の後継製品で、同プロセス技術によって製造されたCortex-X1と比較して性能は16%、マシンラーニング(機械学習)性能は約2倍になり、シングルスレッド時の性能が大きく強化され40%も向上しています。

 

Cortex-A710はCortex-A78の後継製品で、同プロセス技術によって製造されたCortex-A78と比較して性能は10%向上、電力効率は30%向上しています。マシンラーニング性能はCortex-X2と同じく約2倍になっています。

 

Cortex-A510が2017年に発表されたCortex-A55の後継製品で、同プロセス技術によって製造されたCortex-A55と比較して性能は35%向上、電力効率は20%向上、マシンラーニング性能は約3倍に向上しています。

 

いずれのCPU IPは最新のArmv9に対応し、Cortex-X2とCortex-A510はAArch64のみ、Cortex-A710はAArch64とAArch32をサポートしています。

 

また、CPUを制御するDSU(DynamIQ Share Unit)もDSU-110に更新。このDSUでは従来製品の倍となる16MBのL3キャッシュをサポートし、最大で8つのCortex-X2のCPU構成が可能になっています。ただ、8xCortex-X2はスマートフォンやタブレットではなく、WoA(Windows on ARM)やChromebook向けのSoCに採用すると考えています。

 

そしてこのDSPはArmの例によると4xCortex-X2+4xCortex-A710、1xCortex-X2+3xCortex-A710+4xCortex-A510、4xCortex-A710+4xCortex-A510、2xCortex-A710+6xCortex-A510、4xCortex-A510の搭載が可能になっているようです。

 

Armによると今回発表した1xCortex-X2+3xCortex-A710+4xCortex-A510のCPUは、従来の1xCortex-X1+3xCortex-A78+4xCortex-A55のCPUと比較してピーク性能で30%、電力効率で30%、LITTLE側の性能は35%優れていると説明しています。

 

そしてArmは2023年にはCPUはbig側とLITTLE側双方を64bitのみにする予定で、その予定に先立って開発に関わる全ての人々は2021年末までに全てのアプリケーションの64bit化を実現するように呼びかけています。

 

GPU IPはValhallアーキテクチャを採用したMali-G710とMali-G610、Mali-G510、Mali-G310を発表。ValhallアーキテクチャはMali-G78やMali-G77、Mali-G57に採用されているため、特別新しいものではありません。

 

Mali-G710は従来のMali-G78と比較して性能は30%向上、消費電力は20%削減、マシンラーニングは35%の性能向上に成功しています。

 

Mali-G610はMali-G710と同じ性能を有していますがシェーダーコア数が1から6(MP1からMP6)の場合に名付けられ、7から16コア(MP7からMP16)はMali-G710の名称を用います。Mali-G78は最大シェーダーコア数は24(MP24)だったので、少しだけ減少しています。

 

Mali-G510はMali-G57の後継製品で、ミドルレンジ帯をメインターゲットにしています。従来のMali-G57と比較して性能は2倍、消費電力は22%削減しています。

 

Mali-G310はMali-G31の後継製品で、エントリー帯をメインターゲットにしています。従来のMali-G31と比較してテクスチャ性能は6倍、Vulkan性能は4.5倍となっています。

 

Mali-G510のシェーダーコア数は2から6(MP2からMP6)、Mali-G310も2から6(MP2からMP6)に設定されています。

 

Armは今回発表した新CPU IPや新GPU IPのライセンスは既に顧客となる半導体メーカーに提供されており、2021年末までに採用したSoCが発表され、これを搭載した製品(スマートフォンやタブレット)は2021年Q1(1月-3月)に登場する見込みです。

 

そして、CPUやGPU、NPUなどを接続するインターコネクト IPとなるCoreLink CI-700とCoreLink NI-700を発表していますが、前者はコンピューティング向け、後者はネットワーク機器向けに最適化された製品です。スマートフォンやタブレットとは縁遠い存在なので、詳細については割愛させていただきます。

 

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