Snapdragon 6シリーズ製品においてARM Cortex-A77を初採用、5Gに初対応したSnapdragon 690 5Gのベンチマークスコアが判明しましたので、Snapdragon 7シリーズとSnapdragon 6シリーズ、競合他社製品と簡単に比較を行います。
今回の性能比較はAnTuTu Benchmark v8とGeekbench 5を用いており、バッテリーの持ちや実際の快適度は考慮していないことをご了承ください。
Snapdragon 690 5Gの主なスペックはSamsung製8nm LPP製造プロセス、CPUはKryo 560(2xA77+6xA55)のオクタコア構成で最大周波数は2.0GHz+1.7GHz、GPUはAdreno 619L @565MHz、5G通信はSub-6GHz帯に対応しmmWave(ミリ波)は非対応となっています。
GPUのAdreno 619“L”はいくつか性能が落ちていることを意味し、Snapdragon 750G 5Gが搭載しているAdreno 619と比較していくつか性能が低いことを表しています。
Snapdragon 690 5GのAnTuTu Benchmark v8スコアはCPU性能が107,253点、GPU性能が62,393点、MEM性能が53,999点、UX性能が58,059点で総合性能は281,704点という結果になりました。
Snapdragon 765G 5GやSnapdragon 750G 5Gと比較するといくつか性能が劣っていますが、同じSnapdragon 6シリーズの枠組みで考えると圧倒的な性能を有しています。特にSnapdragon 6シリーズは200,000点を超えている製品がSnapdragon 675しかありませんので、このSnapdragon 690 5Gの登場によって厚みが増えたと感じます。
また、GPU性能はSnapdragon 662やSnapdragon 675の倍近い性能が算出されており、これらの製品は3D処理をふんだんに使用するゲームではいくつか設定を落とすことで快適なプレイが出来ていましたが、Snapdragon 690 5Gは設定を落とすことなく快適なゲームが出来るでしょう。
競合他社製品としてMediaTek Dimensity 800、Dimensity 720、Samsung Exynos 980、HUAWEI Kirin 820を用意しました。
A77を採用しているのはExynos 980で、ほかのDimensity 800やDimensity 720、Kirin 820はA76を採用しています。
Snapdragon 690 5GはCPU性能ではいくつか優位に立っていますがGPU性能は最下位となっており、総合的に見るとこの比較では最下位となりました。
CPUでの優位性についてはA77を採用したことが考えられますが、GPUでの最下位はQualcommはGPUを自社開発しているので明確な比較は出来かねますが考えられる要因として競合他社製品の周波数が高いことが挙げられます。
Geekbenchは、今回の比較に使用した全てのSoCとの比較です。
Snapdragon 690 5GのCPU性能はSnapdragon 765G 5GのCPU性能と遜色が無い事が明らかになり、更にSnapdragon 662とSnapdragon 675と比較してシングルコア性能とマルチコア性能共に圧倒的な性能を有していることがわかります。
Snapdragon 690 5GはSnapdragon 7シリーズと比較するといくつか性能が下がり、Snapdragon 6シリーズと比較すると圧倒的な性能を有しているので選択肢が広がったと感じます。
おそらくSnapdragon 690 5Gを搭載した製品はSnapdragon 7シリーズを搭載した製品よりも比較的安価なスマートフォンになるため、5Gを利用する生活をするがハードな利用は想定していないという人にぴったりでしょう。