Lenovo Xiaoxin Pad Pro GTが搭載していることで話題の、6コア版Snapdragon 8 Gen 3のベンチマークスコアをまとめました。通常のSnapdragon 8 Gen 3と比較してどの程度の差があるのかに加え、後継製品のSnapdragon 8 Elite、従来製品のSnapdragon 8 Gen 2とどの程度の差があるのかを理解していただければと思います。
今回の性能の比較にあたって、AnTuTu BenchmarkとGeekbenchで算出された性能を利用しています。前者のAnTuTuでは、開発元がiOSとAndroidの比較ができないと表明をしていますので、手持ちのiPadで算出された性能とは比較しないでください。後者は比較可能のため、そちらの性能は是非とも比較してください。
6コア版Snapdragon 8 Gen 3の主な仕様は、製造プロセスがTSMC 4nm N4P、CPUはKryoを採用し最大3.30GHzで動作するCortex-X4と最大2.96GHzで動作するCortex-A720と最大2.27GHzで動作するCortex-A520を1+4+1構成で採用、GPUはAdreno 750、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 4.0、モバイルデータ通信は5Gに対応します。
通常版のSnapdragon 8 Gen 3と比較すると、高性能なCortex-A720が1基削減され、動作周波数は3.15GHzのものが無くなって2.96GHzに統一。そして、高効率なCortex-A520が1基削減されて1基が残りました。構成は、通常版が1+3+2+2構成でしたが、6コア版は1+4+1構成になり、あまり見慣れないものになりました。
GPUの動作周波数は実機を持っていないので不明ですが、発揮された性能を見る限り903MHzで共通しているのではないかと推測しています。さらに、選別落ちした製品の一部分を上方向に調整する例は非常に少なく、Qualcommがそのように調整した例が思い浮かばないため、同じだと思っています。
ちなみに、6コア版Snapdragon 8 Gen 3自体はモバイルデータ通信に対応していますが、それを搭載しているLenovo Xiaoxin Pad Pro GTはモバイルデータ通信に対応していない製品です。そのため、この製品にSIMカードを挿入し、モバイルデータ通信を利用して使用することは出来ません。
6コア版Snapdragon 8 Gen 3のAnTuTu v11における性能は、CPU性能が665,161点、GPU性能が801,875点、MEM性能が359,732点、UX性能が580,475点で、総合性能は2,407,243点となりました。
通常版のSnapdragon 8 Gen 3の性能を100%として比較すると、CPU性能は約93.6%、GPU性能は約97.7%を発揮し、GPU性能は誤差程度でCPU性能はやや差があるといった結果になりました。3.15GHzで動作するCortex-A720が1基削減され、残りの2基が2.96GHzに下がってもこの程度の差なので、気にする必要はないでしょう。
また、従来製品のSnapdragon 8 Gen 2の性能を100%として比較すると、CPU性能は約109.5%、GPU性能は約186.0%となり、CPUは10%近い性能向上を達成し、GPUに至っては評価する必要もないくらい性能向上が実現されているので、文句のつけようがありません。
Geekbench 6における6コア版Snapdragon 8 Gen 3の性能は、シングルコア性能が2,264点で、マルチコア性能が5,979点となりました。このGeekbenchはCPU性能の比較に適しており、iOSやAndroid、macOSなどの異なるOSでの比較が可能な素晴らしいものです。
シングルコア性能に注目すると、最大3.30GHzで動作するCortex-X4を共通して採用しているので差は当然ありません。アプリを開くときの快適さ、ウェブブラウジング時の快適さは通常版のSnapdragon 8 Gen 3と同じです。心配無用です。
一方でマルチコア性能は、Cortex-A720が1基削減されて2.96GHzに統一され、Cortex-A520が1基削減されているので当然差があり、通常版を100%の性能とすると約85.7%となりました。この15%近い差は看過できなく、モバイルデバイス向けのSoCにおいては1世代差あると考えても問題ないほどの差です。
しかし、シングルコア性能が共通しているので全ての体験で差があるかと言うとそうではなく、3D処理をふんだんに使うアプリで一瞬のカクつきが出てくる程度の差なので、そういった利用を想定していないのであれば問題ありません。また、そういったアプリを利用する場合でも、高い設定を諦めて設定を調整すれば快適にプレイできます。
そして、Snapdragon 8 Gen 2の性能を100%として比較すると、シングルコア性能は約114.3%で、マルチコア性能は約107.7%となりました。どちらの性能も向上しているので、より快適な利用ができるでしょう。
しかし、コア数が少ないのは明確な欠点で、高負荷な状態では8コアの方が効率的のため、6コア版Snapdragon 8 Gen 3はそれと比べると発熱しやすくなります。もちろん、高負荷な状態が前提ですが、その問題を抱えていることは理解しておいてください。
8コアから6コアに削減されていることで性能差を心配する声もありますが、今回の比較でわかったことは「差はあれど心配する必要がない」です。もちろん同じではないのでどこかで差を感じますが、極端な利用をしない限りは気づかないレベルです。
そのため、これを搭載したLenovo Xiaoxin Pad Pro GTは間違いなく素晴らしい製品です。しかし、本来は中国市場向けに販売されたものなので、iPadのように誰でも簡単に手軽に使えるものではありません。そのため、不具合が見つかった場合に検索して解決する能力が必要です。それに対する自信がない場合は、大人しく日本向けに販売されている他の製品を購入しましょう。
ちなみに、Lenovo Xiaoxin Pad Pro GTとほぼ同じスペックのものがLenovo Yoga Tabとして日本市場で販売されており、そちらを購入することで6コア版のSnapdragon 8 Gen 3を利用することが出来ます。自分の能力に合わせてどちらを購入するか選んでください。





